海外での生産モデル立ち上げでは、ギャップを埋めることに奔走
――石川さんがタイム技研に入社した経緯を教えてください
石川大学を卒業後、名古屋で開催していた就職フェアの企業説明会に参加したのがきっかけです。大学ではマテリアル系を専攻していたので未知の分野でしたが、技術や設計をやってみたいという思いはありました。
タイム技研はガスバルブや水制御バルブ、回路基板設計をとおして、住宅設備機器をはじめ医療機器、業務用厨房機器など多方面に製品を納めているので、そこに興味を持ちましたね。
会社見学では、生産ラインや事務棟まで案内してもらったのですが、人が多く、みんなが活発に動いている様子が印象的でした。
開発部門のフロアも、パソコンで作業している人もいれば、バルブの組み立てをしている人、加工をしている人など、ひとつの会社のなかで多種多様な「ものづくり」をしているな、と強く感じたのを覚えています。
とくにガスバルブは、目に見えず、かつ気体であるガスをコントロールする製品。その難しさが、逆におもしろそうだなと思ったんです。
――2020年には、海外向けの製品モデルの立ち上げを担当したそうですが、振り返ってみて大変だった点は?
石川もともと日本で生産していた製品を、韓国でも作れるようにしようという試みでした。量産体制まで、約1年くらいかけたと思います。
大変だったことは、根本的な考え方の違いによるギャップをなくすことでした。
たとえば私が担当した資料作りで、「ここは書かなくてもわかってくれるだろう」と思い、説明を省いてしまったことで、うまく伝わらなかったり違う捉え方をされたりということが多々ありました。
日本でお世話になっている成形部品メーカーの方たちとはお付き合いも長いので、こちらの求めている水準を言わずともわかってくれている部分があります。
ですが韓国では土台がまだなかったので、一から作り上げていく必要がありました。
こうしたギャップを埋めるために、一つひとつ細かく説明と確認をしあうことによって相互理解が進み、最終的に国内と同じ製品のクオリティが完成品として上がってきたときは、本当に嬉しかったです。